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146:景品表示法と共同懸賞のルール

■共同懸賞とは

商品購入や契約を条件に、抽選で景品を提供する「一般懸賞」とは別に、複数の企業が連携して実施する「共同懸賞」という形式があります。
これは、業種を超えた合同プロモーションとして活用されることが多く、企業単独では実現しにくい規模や内容の企画を可能にします。
例えば、スキンケアブランドと旅行会社が共同で、「化粧品を一定金額以上購入した方の中から、抽選で温泉旅行が当たる」といったケースが挙げられます。
複数の企業が協力することで話題性が高まり、集客面でも大きな効果が期待できます。

共同懸賞も景品表示法の規制対象となっており、守るべきルールがいくつか定められています。

◎個別の景品金額の上限

共同懸賞では、企業の参加数や取引価額の合計にかかわらず、1人の当選者に提供できる景品の価値は最大で10万円までと定められています。
参加企業の数がどれだけ多くても、1人あたりに提供できる景品の上限は10万円であることを理解しておく必要があります。

◎懸賞全体の景品総額の上限

景品の総額については、参加する企業それぞれの取引価額を合算し、その合計額の20倍までが上限とされています。
例えば、3社がそれぞれ5,000円の商品を提供する場合、取引価額の合計は1万5,000円となり、その20倍にあたる30万円が、懸賞全体で提供できる景品の上限となります。

◎景品の「価値」の考え方

景品の価値は、「時価」に基づいて判断されます。
ここでいう時価とは、仕入れ価格や企業間の取引価格ではなく、一般の消費者が通常支払うとされる価格を基準とします。
例えば、企業が特別なルートで安く仕入れた商品であっても、一般的に10万円程度で販売されているものであれば、その商品の時価は10万円と判断されます。
そのため、景品が上限を超えていないかどうかは、消費者の視点に立って慎重に確認することが重要です。

取引価額とは

取引価額とは、企業が提供する商品やサービスについて、通常の販売価格として設定している金額のことです。

共同懸賞では複数の企業が関わることから、応募条件や景品の提供方法などをあらかじめ統一しておくことが非常に重要です。
企業ごとに異なる説明や条件を提示してしまうと、消費者に混乱や不信感を与える可能性があり、その結果として景品表示法違反や企業の信用失墜につながるリスクがあります。
また、広告や告知においては、どの企業が主体となり、どのような景品をどのような条件で提供するのかを明確に示す必要があります。
曖昧な表現を避け、共同で実施するからこそ、消費者に対する透明性をより強く意識することが求められます。

共同懸賞は販促効果が高い反面、関係企業間の連携や法令の遵守が不可欠です。
計画段階から景品表示法のルールを踏まえて企画を設計し、消費者の信頼を損なわないよう細心の注意を払うことが重要です。
特にオンラインやSNSを通じたキャンペーンでは、情報の伝わり方が多様化しているため、より慎重な対応が求められます。
次回のブログ記事では、「総付景品」について詳しく説明します。

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