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147:景品表示法と総付景品のルール

■総付景品とは

企業が販売促進のために実施するプレゼント企画のなかでも、特によく活用されているのが「総付景品(そうづけけいひん)」という手法です。
総付景品とは、商品やサービスの購入・契約に応じて、応募や抽選なしで全員に提供される景品のことです。
いわゆる「おまけ」や「ノベルティ」と呼ばれるものがこれに該当します。
例えば、「商品を購入した方全員にオリジナルグッズをプレゼント」や「3,000円以上の購入で限定ノベルティを進呈」といったケースが、総付景品にあたります。
抽選ではなく確実に受け取れる点が消費者の安心感につながり、企業側にとっても導入しやすい販売促進施策です。

総付景品も景品表示法の規制対象であり、提供できる景品の金額には上限が定められています。

◎個別の景品金額の上限

景品の価額の上限は、取引金額(購入金額)に応じて定められています。
具体的には、取引金額が1,000円未満の場合は200円まで、1,000円以上の場合は取引金額の10分の2までとされています。
例えば、2,000円の商品を購入したお客様に景品を提供する場合、提供できる景品の価額は、取引金額の10分の2である400円が上限となります。
この上限は、過度に高価な景品によって消費者の購買意欲を不当にあおることを防ぐために設けられたルールです。
施策を実施する際は、事前に正確な計算と確認を行なうことが不可欠です。

◎景品の「価値」の考え方

景品の価額は、企業が仕入れた価格ではなく、一般消費者が通常支払う時価(市場価値)で判断されます。
例えば、企業が特別なルートで安価に仕入れた商品であっても、消費者向けに一般的に流通している価格や、フリマアプリなどで継続的に高額で取引されている場合には、その時価が基準となります。
このため、限定品や転売価値の高い景品は、思わぬ高額と評価される場合があり、結果として限度額を超えてしまい、景品表示法違反に該当するおそれがあります。
景品の価額を過小評価してしまうと、気づかぬうちに違反となるリスクがあるため、景品選定時には十分な調査と配慮が求められます。

総付景品を行なう際には、景品の提供条件や表示方法についても慎重な対応が必要です。
表示内容があいまいであったり、実際と異なっている場合には、景品表示法違反(誤認表示)に該当する可能性があります。

◎優良誤認表示の例

広告では高級感のある素材や仕上がりが強調されていたにもかかわらず、実際にはそれに見合わない簡素な作りだった場合、景品の価値を過大に見せかけたと判断され、「優良誤認表示」に該当するおそれがあります。
景品のサイズ・素材・色・デザインなどの情報は、実物に基づき正確かつ具体的に記載しなければなりません。

◎有利誤認表示の例

例えば、次のようなケースは「有利誤認表示」に該当するおそれがあります。
・「全員にプレゼント」と記載しているのに、実際は数量限定だった
・特定の決済方法にしか対応していないにもかかわらず、それを明記していない
このような表示では、消費者が「誰でも必ずもらえる」と誤認してしまう可能性があります。
景品の提供条件(対象商品・金額・期間など)や制限(数量・対象人数など)を、正確かつ明確に表示することが重要です。

総付景品は、購入意欲を高める有効な販売促進手法ですが、過剰になりすぎず、消費者に誤解を与えないよう十分に配慮することが大切です。
景品表示法に基づいた適正な表示と運用を心がけることで、顧客からの信頼を得るだけでなく、企業のブランド価値向上にもつながります。
次回のブログ記事では、「景品表示法違反がもたらす企業リスク」について詳しく説明します。

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