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149:景品表示法違反の罰則と対策

■企業に科される罰則とは

化粧品の広告やプレゼント企画は、消費者の購買意欲を高める有効な手段ですが、その内容が景品表示法に違反していた場合、企業には重大な罰則や行政処分が科される可能性があります。
今回は、景品表示法に違反した場合の罰則と、防止のための対策について説明します。

景品表示法に違反した場合、企業には主に「措置命令」や「課徴金納付命令」といった行政処分が科されることがあります。

◎措置命令

景品表示法に違反する表示や景品の提供が行なわれた場合に、消費者庁が企業に対して出す是正命令です。
違反行為の中止や再発防止策の実施を命じるもので、違反内容や企業名は、消費者庁のウェブサイトなどで公表されます。

◎課徴金納付命令

優良誤認表示有利誤認表示によって得られた売上に対し、売上額の3%相当が課徴金として請求され、不当表示によって得た利益を回収する仕組みです。
課徴金は一定の売上規模や影響範囲に基づいて算出されるため、企業にとっては非常に重い金銭的負担となる場合があります。
なお、すべての違反が課徴金の対象となるわけではなく、適用の有無は消費者庁の調査によって判断されます。

特に悪質な違反においては、刑事罰が科されることがあります。
事業者が措置命令に従わずに違反行為を続けた場合には、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
さらに、違反行為が法人によるものであった場合は、3億円以下の罰金という非常に重い制裁が科されることもあり、法令遵守の徹底が求められます。

◎社内体制の整備

まず社内全体で景品表示法への理解を深め、表示の作成や確認に関わる部署が法令に関する知識を共有できるよう社内研修を実施し、担当者同士で違反事例の情報共有の仕組みを整えることが、違反防止につながります。

◎表示や訴求内容の事前チェック

商品やサービスのリリース前には、法令を踏まえた表示内容の事前チェック体制を構築し、最終確認の手順と責任者を明確にしておく必要があります。
効能を表現する際には、客観的なデータや試験結果による裏付けが求められます。
また、「より効果がある」「他社より優れている」といった表現や、ステルスマーケティングと誤解される手法にも注意が必要です。
プレゼント企画においても、表示方法や条件の明示、金額上限などへの配慮が求められます。

◎広告・キャンペーン資料の管理

広告やキャンペーン資料、根拠となる裏付け資料は適切に保管し、消費者庁から問い合わせを受けた場合、裏付け資料に基づいて迅速かつ的確に説明できる体制が整っているかどうかが、その後の対応に大きな影響を与えます。

◎外部専門家の活用

自社での判断に不安がある場合は、法律事務所や専門機関と連携することも有効です。

景品表示法違反は、企業にとって重大なリスクとなります。
特に化粧品業界では、広告やSNSの表現が消費者の判断に直結するため、日々の運用においても違反リスクと隣り合わせです。
そのような中で、社内体制の整備や表示チェックの仕組みを構築し、「誤認を与えていないか」という視点を持ち続けることが、リスクを未然に防ぐための鍵となります。

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