■有利誤認表示とは

商品やサービスの価格、割引率、支払い方法、特典の内容などについて、実際よりも著しく有利であると消費者に誤認されるおそれのある表示を指します。
このような表示は、消費者の正しい商品選びを妨げ、不利益を与える可能性があるため、景品表示法で禁止されています。
具体例と対応ポイント
◎割引価格に関する誤認表示
「通常価格」や「割引率」の表示が実際と異なる場合、大幅な値引きがされているように消費者が感じてしまうため、有利誤認表示に該当します。
例えば、実際の販売実績として通常価格が5,500円であったにもかかわらず、「通常価格10,000円 → 今だけ5,000円」といった表示は、消費者に大きな値引きが行なわれていると誤認されるおそれがあり不適切です。
対応ポイント
・表示する通常価格は、実際に一定期間継続して販売された価格であるなど、客観的な根拠に基づくこと
・割引率を表示する場合は、「〇〇%OFF(通常価格〇〇円)」のように、明確な比較対象を示し、その根拠となる価格と期間を明示する
◎限定販売や数量に関する誤認表示
「限定100個」「本日限り」などの訴求は、消費者の購買意欲を刺激する効果がありますが、実態がともなっていない場合は、有利誤認表示に該当すると判断される可能性があります。
対応ポイント
・数量や期間に関する表示は、事実と一致しているかを確認する
・「限定〇〇個」や「本日限り」と表示する場合は、販売実績や計画を裏付ける資料を用意し、実態に反した継続的な使用を避ける
◎無料やプレゼントに関する誤認表示
「無料」と表示されていても、送料や手数料が別途発生する場合や、条件付きでの提供であるにもかかわらず、その条件が明記されていない場合は、有利誤認表示とみなされるおそれがあります。
また、対象者が限定されているにもかかわらず、全ての消費者に適用されるような表現も問題となります。
対応ポイント
・「無料」表示の際は、送料・手数料などの追加費用の有無を明確にする
・対象が限定される場合は、適用条件・対象範囲・在庫数などを具体的に記載する
◎ポイントやキャッシュバックに関する誤認表示
ポイント倍率やキャッシュバック金額を強調する一方で、適用条件や受取方法を十分に明示していない場合は、消費者に実際より有利だと誤認させるおそれがあります。
対応ポイント
・適用条件や受取方法を、消費者が理解しやすい形で表示する
・例えば「〇〇決済で〇〇%ポイント還元(上限〇〇円)」など、対象となる決済手段や購入方法などの具体的な条件を明示する
これらの有利誤認表示は、公正な競争を損なうだけでなく、消費者が本来得られるはずの利益を見誤る原因となるため、景品表示法で厳しく規制されています。
事業者が正確な情報に基づいて表示を行なうことで、消費者の信頼が守られ、公正な市場環境の維持につながります。
次回のブログ記事では「ステルスマーケティング規制」について、詳しく説明いたします。